窮鼠はチーズの夢を見る

久々にレビュです。
昨日買って来たのが面白かったもんで。

窮鼠はチーズの夢を見る ジュディーコミックス
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私は関連商品に入ってる、「放課後保健室」が好きで、それを読んでから後に、この作家さんを知って、過去の作品もいくつか読みました。
私は最初、絵が好きで入ったんですけど、読んでると作品世界がどれも好きになってしまうのですよ。

この作家さんは以前ＢＬ描いてらしたので、きっと面白いだろうと思って買ってみたんですけどね、か〜な〜りアタリ！でした！
私はこの作品大好きです。
ただ、万人にはオススメできないかもですね。
なんと言うか、リアル、妙にリアルなんですよ。
私はＢＬはある意味ファンタジーと思って読んでますんで、ありえん設定とか、ありえん美形、ありえん金持ちなどなど、ありえん系の事も、ＢＬ上ではアリ！って思ってて、そういうのも大好きなんですけどね。

なんかＢＬとかそういうのと違います。どっちかと言うとメンズかな？
ただ、絵が綺麗なんで、ホモホモしくないですけど。
主人公の男(黒髪の方：受け)は、女好きって訳でもないのに、迫られると断れない優柔不断男で、流されて浮気を繰り返しまくっていたのですけど、妻に素行調査をされて、たまたまその調査員が自分の大学時代の後輩だったことから話が始まります。
その調査員（茶髪の方：攻め）は真性ゲイで、実は大学時代からずっとこの主人公を好きだったため、調査内容を握りつぶす代わりに、体の関係を迫ってくるのです。
とはいえ、全くノンケな主人公はそんな事はムリ！と断り、結局キスどまりなんですけど、そこからもう、ずるずると、ええもうずるずるといってしまうんですよね（笑）
一言で言えば、ノンケ攻略モノなんですけどね、これがもう、一筋縄でいかないのです。

全編を通してとにかく切ないです。特に、調査員の今ヶ瀬の、情念に近いほどの恋心が痛いです。
なんでそんなに主人公が好きなのか。理屈じゃなく何か、自分の中のツボがあって、それにきてしまうんでしょうって感じの好きさなんですよ。
この人って、どうしようもないって、頭では分かっていても、好きになっちゃうことてあるじゃないですか？
それを、ここまで描いちゃう作品は珍しいんじゃないのかな？
ある意味それくらい、主人公の大伴は、ずるくてその事に無自覚な、でもどこか憎めない、その辺にいそうな男なのですよ。

私なんぞはヘタレなんで、一度描いてしまったキャラには情が移ってしまって、嫌な言葉を言わせることも、浴びせることも出来なくなってしまうんですけど、このマンガはかなり痛いセリフが多いです。でもそれがかなり効果的で、逆に入ってしまいますね。
火サスの世界ですよ。ドロドロです。でもこれがホントかもしれないねって気分になります。あまあまＢＬがぬるま湯なら、これは熱湯風呂･･･というか、氷水風呂って感じですね〜。

そういう意味では、ただ気持ちよくなりたい人にはオススメ出来ないな〜。
フツーのＢＬに飽きた、切ない系が好きな人にはオススメ。
エッチ度は普通〜なんだろうか？　基準がよくわからないんだけど。でもリアルさはここにも及んでて、だんだんと段階を踏んで堕ちていく主人公が、見てて「イヒヒ」な気分になります（笑）
攻めの方がビジュアル的に綺麗なのも私は好みだった。ホントこの今ヶ瀬という人はいいです。

この作家さんの「放課後保健室」「Ｓ−エス−」あたりもかなりＢＬチックで切なくてドキドキしますよ。（ＢＬじゃないんだけど）
どっちも、無意識っぽく見せて、ちらちらとＢＬっぽさを出してくるのが憎い演出です。
多分、痛い系が好きなんでしょうね。痛いと言っても、精神的痛い系ね。一度は登場人物が凹むようないたいことが起こりますから。
そのバランスが痛過ぎなくて、丁度いいスパイスになってます。絶妙です。

ちなみに、この作品はＢＬ雑誌に載ったんじゃなく、レディコミに載ってたみたいです。
え〜！これをレディコミでぇ！？って思っちゃいましたよ〜。興味ない人はかなりびびったんじゃないかと思うくらいに、結構描写がはっきりしてたんですけど！（笑）
そういう意味でもびっくりな作品でした。